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第六回:なぜITエンジニアは横文字が好きなのか?


涼しくなったなーと思ったら、もう九月ですよ。これを書いている今日は2014年9月1日、2014年も残り三分の一です。焦るな~。そんな焦りを隠しつつ、今日もぼへぼへ書いていきましょう。超不定期連載「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムでございまぁす。このコーナーでは、各用語の説明ページでは取り上げにくいIT関連のネタをテーマに、だらだらと思いついたことを書いていきます。皆さんが「あぁ、なんか役に立ちそうな気もするけど、役に立たないかなぁ。でも、もしかしたら役に立つかも」と思える情報を発信できるように頑張ります!


はじめに


栄えある第六回目のテーマは……ピヨピヨピヨピヨ(ぴよぴよ的ドラムロール)……じゃん!

なぜITエンジニアは横文字が好きなのか?

です。
皆さんも薄々感じているとは思いますが、この業界、横文字やカタカナ語の登場頻度が物凄いことになっています。
例えば、皆さんも一度は聞いたことがあるであろう「IPアドレス」ですが、Wikipediaさんの概要説明には次のように書かれています。

IPアドレスは、IPでネットワーク上の機器を識別するために指定するネットワーク層における識別用の番号である。データリンク層のMACアドレスを物理アドレスというのに対応して、論理アドレスとも呼ばれる。IPには、IPv4とIPv6とがあり、使用するプロトコルの違いにより、IPv4のIPアドレスとIPv6のIPアドレスとがある。狭義では、当初RFC 791でIPを定義した際に、IPが現在のIPv4に当たるもののみであったことから、単にIPアドレスと呼称した場合にはIPv4のIPアドレスを意味することがある。

IP」「ネットワーク」「ネットワーク層」「データリンク層」「MACアドレス」「物理アドレス」「論理アドレス」「IPv4」「IPv6」「プロトコル」「RFC」横文字とカタカナ語のオンパレードですね。

この説明を読んで「あぁ、なるほど。IPアドレスってこーゆーものなのか」と理解できる人は多くないでしょう。もちろんスーパーエンジニアな人やスーパーエンジニア候補な人は理解できるかもしれません。ですが、パソコンって美味しいの?レベルの人たちがこの説明を理解するのは難しいはずです。少なくとも私はよく理解できませんでした。

このような事態は、決して珍しいことではありません。
分からない言葉を調べたり聞いたりしたら、カタカナ語と英語がいっぱいの説明をされて、さらに分からなくなる。そんな経験をしたことがある人は多いはずです。

どうしてIT用語というのは、こんなに複雑怪奇なんでしょうね?

今回はその謎に迫ってみます。

……と、もったいぶりたいところではあるのですが、先にネタばらしをしておきますね。
IT業界で横文字やカタカナ語の登場頻度が多いのは

1.英語圏発祥だから
2.根が真面目な人が多いから
3.「分からない方が悪い」文化があるから


だと私は考えています。身も蓋も無いですが、業界の文化がそうなのです。
そんな人たちに分かりやすい説明をして欲しければ、工夫が必要です。

正確じゃなくて良いので「なるほど」と思える説明をしてください。

と「説明」を求めるのではなく「理解させる」ことを求めるか

何となくの説明で良いので、カレーに例えて説明してください。

と、たとえ話の無茶振りをするか

小学生に説明するとしたら、どのように説明しますか?

と、対象年齢を変えてみるのが有効だと思います。

あっ、これから長々と書いておこうと思っていたことを、全部先に書いてしまいました。
お急ぎの方は、ここまで読めば十分です。ご拝読いただきありがとうございました。

お時間に余裕のある方は、この先もお付き合いください。

それでは順番に見ていきますね。


その前に


本題に入る前に、一つだけ言葉を定義させてください。それは「横文字」です。
今回、私は「横文字」という表現をちょいちょい使います。
この「横文字」は「英語」「カタカナ語」「専門用語」を意味するとお考えください。カタカナ語は元が英語で、IT用語で出てくる英語はほぼ専門用語です。これらはすべて同じ物を指すと解釈し、それを表現する言葉として「横文字」を使います。

それでは、いよいよ本題に入ります。

なぜITエンジニアは横文字が好きなのでしょうか?


理由その1:英語圏発祥だから


そもそも論ですが、専門用語というのは既にある言葉で説明できない、もしくは説明するのが面倒くさいときに誕生する言葉です。
そしてコンピュータ関係において、専門用語の多くをえっちらおっちらと作ったのは、ほぼ英語圏の人たちです。と言いたいところですが、調べてないので断定はできません。

ただ医学用語にドイツ語が多いように、コンピュータ用語に英語が多いのは事実です。
だから英語圏発祥、もしくは母国語の異なる人たちが、英語で議論して決めていったのだろうと推測しています。

コンピュータの元祖が日本で、文化も日本を中心に発達していたのであれば、専門用語も日本語だったと思うのですけどね。
「ハラキリ」「テンプラ」「スシ」などと同じように「ケーサンキ」と呼ばれていたかもしれません。

でも残念ながら「ケーサンキ」ではなく「コンピュータ」です。
元々が英語なので、IT業界の専門用語は横文字なのでしょう。これは仕方がないことです。

これがITエンジニアが横文字好きな理由、その1です。そもそも横文字な言葉が多いから。
好きとはちょっと違うかもしれませんが、勘弁してください。


理由その2:根が真面目な人が多いから


「うっそだー!」と感じる人もいるかもしれませんが、技術者の人たちは根が真面目な人が多いです。
えっ?とてもそうは見えない奴もいる?まぁ、そうですね。そこは否定しません。できません。でも真面目な人が多いのも事実です。

さて、そんな真面目な技術者たち、嘘をつくのが苦手です。せっかく自分に訊いてくれたのです。きちんと教えてあげたいです。自分が間違った知識を教えてしまったせいで、相手が恥をかいたら大変です。

そのため、何かを説明しようとするときは、できる限り正確な意味を伝えようと頑張ります。

自分の知識にプライドを持っているから「それ、間違ってるよ。ぷぷっ」と言われたら嫌だという面もありますけどね。とにかく、できる限り正確な意味を伝えようと頑張るのです。

そうすると、どうなると思います?

そうです。専門用語が増えます。横文字が増えるのです。

そもそも、既にその事象をピッタリ説明できる言葉があれば、専門用語なんて生まれません。その言葉を使えば良いだけです。
ピッタリな用語が無いからこそ、それをピッタリ説明する表現として専門用語が生まれるのです。

つまり、正確に説明しようとすればするほど、正しい知識を伝えようとすればするほど、横文字が増えてしまいます。

説明を受けているあなたは「専門用語ばっかり使って、何言ってっか分かんねーんだよ。自慢かよ!イジメかよ!けっ!」と感じるかもしれませんが、説明している方としてはそんなつもりはありません。むしろ、あなたに対して真摯であるからこそ、何を言ってるか分からない事態になっているのです。

哀しき擦れ違いですね。

これがITエンジニアが横文字好きな理由、その2です。正確な説明をしようと頑張りすぎちゃってるから。


理由その3:「分からない方が悪い」文化があるから


実はIT業界、意外と殺伐としています。
あくまで技術者同士の会話に限った話ではあるのですが「分からない方が悪い」「分からなければ自分で調べろ」「教えて君してんじゃねーよ」「『初心者』なんて言葉、何の免罪符にもなんねーんだよ」などなど、職人気質な人も少なくなかったりします。要は「分からない言葉が出てきたら自分で調べろ」と考えて、噛み砕いた説明をしない人もいるのです。昔よりは大分減りましたけどね。

あるいは

言ってることが分からない=勉強不足

と捉える向きもあります。
その考え方が飛躍して

自分の言っていることを相手が理解できていない
   ↓
自分の方が知識を持っている
   ↓
自分の方が実力がある
   ↓
パワーバランスで優位に立てる


と考えるようになり、意図的に専門用語を多用する人もいます。

特にどんぐりの背比べ的な実力伯仲で、かつ仲の良くない技術者同士の会話でよく見られますね。「あれ~?お宅様くらい優秀な方がこーんなことも知らないんですの~?おーほほほ」みたいなやり合いです。
インチキくさい営業さんがよく分からない言葉を連発して相手を煙に巻こうとするのと同じと考えても構いません。

それ以外の事例としては、意図的に専門用語を使って、意味を理解できているかで相手の技術レベルを計る場合もあります。例えば、面接の場などで使われる手法です。

このように「相手に理解させることを目的としていない説明」をすることも多いのです。
「この説明で分からないならおまえが悪い」な理屈ですね。

そんな環境にどっぷり漬かり過ぎていると、相手に理解させることを目的とした説明が下手くそになっちゃうことがあります。噛み砕いた説明ができなくなっちゃうのです。
これは本人の素養の問題ではありません。まったく関係しないとは言いませんが、慣れの問題が大きいです。

そんなこんなで、悪気の有り無しに関わらず、専門用語を使わない説明ができなくなっちゃっている人もいます。

これがITエンジニアが横文字好きな理由、その3です。「横文字使ってる俺が悪いんじゃなくて、横文字分からないお前が悪い」な文化があるから。


じゃあ、どうすれば良いのよ?


ここまでITエンジニアが横文字好きな理由を見てきました。

でも、ぶっちゃけ止めて欲しいですよね?

できればド素人でも分かるように説明してもらいたいです。

そんなときはどうすれば良いか?

お願いするのです。説明の仕方に注文を付けるのです。ただし「横文字を使わないで説明してくれ」と言っても効果は薄いです。工夫してください。


工夫その1:正確でなくても良いと伝える


「理由その2:根が真面目な人が多いから」で「正確に説明しようとするから専門用語が増える」と書きました。逆に言えば、正確に説明しなくて良いなら専門用語は減らせるのです。

「正確でなくても良いですよ」「どーせこっちはド素人なんだから何となく分かれば満足ですよ」あるいは「後で自分できちんと調べるから、その取っ掛かりにできそうな触りを教えてください」でも構いません。とにかく、説明する人の肩の力を抜いてあげてください。スポーツだって一緒ですよね。気合を入れ過ぎて肩に力が入ったら、上手く行くものも行きません。それと同じです。

また、某巨大掲示板の文化で「今北産業」というのがあります。これは「今来たところだけど、スレの流れを3行にまとめて教えてケロ」的な意味の符丁ですが、これを応用しては如何でしょう。

スレの流れを3行にまとめるなんて、基本的には無理です。大胆にぶった切って、言葉をアレンジして、雰囲気だけを伝えるのがやっとでしょう。

でも、それで良いんじゃないですかね?

何となくの雰囲気が分かれば、それで事足りる場合も少なくありません。足りなければ、改めて補足してもらえば良いだけです。
「今北産業」を社会人らしいオブラートに包んだ言い回しで伝えてみるのも手だと思います。


工夫その2:たとえ話をしてくれるように頼む


説明する方にも聞く方にもセンスが求められますが、たとえ話で説明してもらうのも良い方法です。比較的自分が分かりやすいジャンルでお題を与えれば、さらに理解しやすくなるでしょう。

やっぱり某巨大掲示板の文化で恐縮ですが「ガンダムで例えてくれ」というのがあります。これは「それについて、そのまま説明されても分からんから、その内容をガンダムで例えて説明してちょーだい」を意味します。ちなみに「ガンダム」は男の子たちに大人気だった、親父にもぶたれたことないのに!アニメ、もとい、巨大ロボットアニメね。
これは上手くはまると物凄い分かりやすいです。私は、さっぱり分からなかった某法律の知識をガンダムの例えで理解しました。ガンダム、さいこー!


工夫その3:幼女になる


工夫その1、その2でも駄目だったら最後の手段です。

ふぇぇ、おじちゃんの説明、わからないよぉぉ

と泣きつきましょう。
「可愛い幼女に教えるつもりで説明してくれ」とアピールすれば、多くの男性エンジニアが頭を捻ってくれるはずです。

冗談はさておき、説明の対象年齢を変えてもらうというのも手です。
「小学生に説明するとしたら?」「お婆ちゃんに説明するとしたら?」「某携帯電話のテレビCMに出てくる喋る白い犬に説明するとしたら?」説明する対象を変えると、出てくる言葉も変わると思いますよ。


まとめ


今回は「なぜITエンジニアは横文字が好きなのか?」をテーマに、無駄に横文字の多いIT業界を渡り歩く方法を書いてみました。
IT業界で横文字が多い理由は

1.英語圏発祥だから
2.根が真面目な人が多いから
3.「分からない方が悪い」文化があるから


です。
そして、そんな横文字文化に負けないための手段として

1.正確でなくても良いと伝える(今北産業)
2.たとえ話をしてくれるように頼む(ガンダムに例えて)
3.説明の対象年齢を変えてもらう(ふぇぇ)


を挙げてみました。

まぁ、そこまでやっても何言ってるか分からない人は分からないですけどね。少しはマシになるのではないでしょうか。
横文字、カタカナ語に負けず頑張ってください。応援しています。



思いつきで始めて惰性で続けている「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムですが、いかがでしたでしょうか。回を重ねる毎に、書くのに掛かる時間も長くなり、それに伴って文章量も増えています。どこかで歯止めをかけないとダメですね。そこら辺を気にしつつ、これからもちまちまと書いていこうと思います。コンゴトモヨロシク。